ニシノホシ畑ノート 060531 収穫
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5月17日午後。
ニシノホシの現地検討会がありました。
参加者は
JA
宇佐市役所
大分県庁
三和酒類などから約20名。
ニシノホシの畑を視察して平成18年度のニシノホシの生育概況や
今年秋の作付け計画について協議しました。
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小鳥の声が時折のどかに届く暖かな春の日差しの中,吉用さんの畑にお邪魔しました。
前回の取材からちょうど一ヶ月。
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麦踏は霜で根元が持ち上がったり,
延びすぎて株の張りが悪くなるのを防ぐため。
麦の生育においては湿害が一番ダメで,
麦踏と同時に水捌けを良くする・・・・
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さっきから,太陽の光が車越しに差している。
まるで,耳がキーンとなる唸るような外の寒さを忘れさせるかのように。
今日は,ニシノホシの麦踏みの日です。
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1月27日ニシノホシの様子。
ニシノホシ畑は青々としています。
冬の景色はあまり色がないので,
青々としたニシノホシはひときわ鮮やかに見えます。
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吉用さんに,いろいろとお話しを伺いました。
質問:今年収穫したニシノホシを振り返って,どうでしたか?
吉用さん:今年のニシノホシは,収穫量こそ少なかったが,出来は非常に良かったな。
ちょうど1年前の播種から2月頃までの天候が悪かったので,たいへん心配していた。
しかし,結果的には,前半の天候が悪かったおかげで,あまり品質が良くなかった種子からニシノホシが育たなかった。 だから,収穫量は減ったけれども,逆に良い種子から出来たニシノホシだけが実をつけて,出来は全体的に良かったと思う。
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宇佐市長岡さんのニシノホシ播種の様子を写真に撮らせていただきました。
長岡さんの畑は,日豊本線そば。 ひたすら写真を撮りました! 
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ハトムギという名前は,鳩が好んで食べたからだそうですね。
ハトムギは多分漢字で書くと【鳩麦】で,この呼び方は明治時代からだそうです。
それ前は,ヨクイニン=中国語。 今でも漢方ではハトムギをヨクイニンと言っているそうです。
ある情報によれば,同じものでも健康食品として売られるときはハトムギ,漢方薬ではヨクイニンになると書いていました。
これ以外の呼び名は,シコクムギ(四石麦),チョウセンムギ(朝鮮麦),トウムギ(唐麦)だそうです。
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平成17年5月13日 午後。
快晴の中,ニシノホシの現地検討会がありました。
参加者は,
JA
宇佐市役所
大分県庁
大分農政事務所
三和酒類から約30名。
ニシノホシの畑を視察して,
平成17年度の『ニシノホシの生育概況』や今秋の作付計画について,
協議しました。
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4月20日 水曜日 午後2時。
出穂から10日前後は赤カビが生えやすい。
そのため,この時期の雨は収穫前の雨と同じく,できれば避けたいということだった。
20日は小雨模様だったが,空気はからっとしており,あまり影響は無いだろうとのこと。
できたらよい天気があと1週間ぐらい続いてほしいとのこと。
麦の成長は順調で,収穫は5月下旬(去年は15日に実施)を予定。
昨年,一昨年と5月に大雨が降ったので,吉用さんの心配はその点。
*:雨が降ると実がくすんだ色になってしまう。
さて,畑にあるニシノホシは出穂から約2週間が経過した。
最終的に選抜された品種は“西海皮54号”と“関東二条29号”。
ただ,醸造(製麹特性)という視点から見ると,後者の方がやや優位だった。
商業的に大麦を生産という視点を入れた場合,
品種の選定に当たっては,
地域の気象条件,
土壌条件,栽培体系,コスト等を
総合的に勘案する必要がある。
つまり,新品種の栽培特性が良いということが,
重要なポイントになる。
話題性があるということで,関係者が一時的に盛り上がったとしても,
栽培特性というベースの部分の評価が低いとやはり長続きしない。
そういう意味からも栽培特性に優れた品種を選ぶことは,
大事なことだと思う(「win」×「win」の関係を築くということ)。
その栽培特性ということを考えると,収穫時期は重要なポイントになる。
麦類(おそらく米も)は,収穫前に長雨が続くと,
穀粒が水分を吸収し,発芽したり,
黒ずんだりという雨害が発生しやすくなる。
雨害が発生した大麦は焼酎用としては不適で,
商品価値がなくなることもある。
品種を選定する時の重要なポイントの一つとして,
早晩性がある。
‘早晩性’とは,一言でいうと,
刈り取りに達するまでの栽培期間の長短である。
早いものを早生,遅いものを晩生,中間を中生,
特に早いものを極早生,等と呼ばれている。
“一般に早生より晩生のほうが多収”と言われているが,
九州における大麦生産を考えると,晩生タイプの品種では,
6月中旬からはじまる梅雨の時期に収穫が重なる可能性が生じる。
“関東二条29号”は晩生タイプだったが,“西海皮54号”は早生タイプ。
この点が評価されて,
“西海皮54号”が第一号の焼酎用大麦として選抜され,“ニシノホシ”と命名された。
・・・
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天気は快晴。
宇佐市葛原地区のニシノホシ生産者『葛原アグリ倶楽部』会長 吉用さんを訪問。
倶楽部では,今年からニシノホシ採種圃場の取り組みを始められたとのこと。
採種圃場は,来シーズン(今年11月播種)の一般生産者向けニシノホシ種子を取る畑のこと。
ニシノホシの採種圃場として必要な基準があり,
異型のニシノホシは,
収穫前に除去する作業もあるとのことであった。
****** 基準 ******
①雑草の発生率基準
②異品種の選定基準
③種子としての発芽率
********************
出穂から1週間ほど経過。
背丈は80~90cm程度(腰より少し上ぐらいの高さ)。
穂はぺたっと平べったい感じ。
これから麦の花が咲き,
徐々に実が詰まって穂が膨らんでいくとのこと。
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一般的に行われる製麹工程は,
前半と後半によって条件が大きく変わってくる。
前半は麹菌を十分に増殖させて,
酵素を出させることに主眼が置かれ,
後半は漸次品音を下げて,
麹菌によるクエン酸生産を促す。
焼酎に適した大麦を開発するという主旨から,
100g単位の製麹試験であっても,同様の条件で行う必要がある。
麹を造る工程は,
①種付け,②切り返し,③盛り,④積み替え,
⑤仲仕事,⑥仕舞仕事,⑦出麹
これらの作業の目的は,
原料(=大麦)の温度と湿度のバランスを調整することにある。
焼酎好適大麦の開発においては,午前中から原料処理(吸水・蒸し)を行い,
夕方,麹菌の種付けして,恒温恒湿装置に入れた。
翌朝(約18時間後)以降,6時間おきに手入れ作業を行い,
二日目の夜は徹夜で製麹試験を行った。
こういう試験を何度となく繰り返した。
焼酎醸造において,‘麹’に期待される役割は,
原料を溶解するための酵素の供給と雑菌防止のためのクエン酸の供給にある。
そのため,‘麹’の評価は生産された酵素量と酸によって行われる。
・・・
大麦は農作物であり,その年の気候によって,
品質が大きく影響される。
そのため,3年近くにわたって,栽培試験・醸造試験を繰り返し,
最終的に,“西海皮54号”と“関東二条29号”を選抜した。
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先日,農家の方の話を書きましたが,
その後数日間,暖かい日が続き,
ニシノホシが一気に成長したようです。
宇佐市葛原地区で栽培されているニシノホシの丈は,
すでに人の腰辺りまでに達しています。
出穂もほぼ終え,これから収穫までの間に,
さらに大きく,色づいてきます。
小麦色と大麦色は違います。
宇佐地区が収穫を迎える6月初旬まで,
ニシノホシの畑ノートを続けていきたいと思います。
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焼酎に適した「二条大麦」を開発するときに,
最も重視したのは,“製麹特性(せいきくとくせい)”。
つまり,麹を造る際に,麹が作りやすいか,良い麹が出来るか,ということ。
麹の出来不出来というのは,原料処理(=水洗い,吸水,蒸し)も重要になる。
すなわち,“製麹特性が良い”という品種は,
水洗い・吸水・蒸しの作業がやりやすいという側面もある。
麹の試験をするときには,通常100g単位で【水洗い・吸水・蒸し】の作業を行う。
実際の焼酎造りでも,原料処理という作業は時間との戦い。
もっとも誤差が出やすい工程で,しかも影響が大きい。
そのため,一つのサンプルあたり同時に3ロットの試験を行い,
さらに,試験は最低でも5回程度は行った。
通常の麹を作るときは,麹室・三角棚・ドラム・円盤ドラム等で行われる。
麹を作るときに最も重要なのは,品温と湿度のバランス。
当然のことながら,100g単位の麹造りは麹室でも出来ないので,
恒温恒湿装置という小型の装置を用いた。
恒温恒湿装置の中に,温度と湿度を一定に保つ1m四方の空間があって,
ここで職人の条件を再現するのである。
機械を使うメリットは,常に一定の条件で試験を行うことができ,
品種毎の比較がやりやすいということである。
さて,選抜試験の一年目は,どの品種が向いているのかわからなかった。
そのため,既存の品種を使って,手当たり次第に麹を作り,
比較試験を行っていった。
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‘ニシノホシ’の開発は1995年から始まった。
むぎ焼酎で使われる大麦は,ビールと同じ二条大麦を使う酒蔵が多い。
昔はそれほど大麦の品種にこだわる蔵は少なく,
‘ニシノホシ’が開発されるまでは,焼酎醸造に適した大麦は,
日本にはなかったとも言っていい。
日本酒には,‘山田錦’を代表とする「酒造好適米」が数十種類ほどある。
むぎ焼酎業界でも焼酎醸造に適した「酒造好適大麦」というものが欲しい。
当然といえば,当然の,こうしたニーズの高まりから,開発が始まった。
醸造試験の舞台となった三和酒類・研究所では,
試験のために持ち込まれた二条大麦を100g単位で,
小さな装置で精麦し,水に浸せき・蒸す。
白麹菌を使った麹を作り,麹の品質試験を繰り返す。
ここで高く評価された品種は,翌年,宇佐市にある大分県農技センター圃場で
再び栽培試験が行われる。
‘ニシノホシ’が選抜されるまでの約3年近くの間,
三和酒類・研究所で実際に行った試験回数は数百回にのぼりました。
試験当時,‘ニシノホシ’は‘西海皮54号’と呼ばれていた。
‘西海皮54号’(=‘ニシノホシ’)は,父 ‘栃系145’×母 ‘ニシノチカラ’。
父の母 ‘はるな二条’。
母の父の母 ‘ダイセンゴールド’。
‘ニシノホシ’は,日本の二条大麦業界でも,
由緒正しい系譜を持っていることが伺える。
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『iichiko 虚空乃蔵 November 2004 (紺ラベル)』
焼酎の香味を構成するのは,さまざまな成分。
一つの成分で焼酎の品質が決定されるほど,単純ではない。 ![]()
*原料
*原料処理
*麹菌
*麹歩合
*酵母
*発酵温度
*蒸留
*ろ過
*貯蔵
これらは,香味に影響するファクター。
我々の会社(三和酒類)では,すでにニシノホシという原料を使って,
『西の星』という商品を作っている。
こうした経験から,ニシノホシの特徴はほぼ掴んでいる。
たとえば,全く同じ醸造条件で製造しても,ニシノホシを使うことで,
他の原料を使った場合よりも,キレイな酒質に仕上げることが傾向がある。
三和酒類が製造販売する『西の星』は,ニシノホシを使った減圧蒸留のむぎ焼酎で,
“シルクを想わせるなめらかさ”が香味の特徴となっている。
(これはニシノホシの原料特性を最大限に生かしたと自負している。)
ニシノホシは,醸造者の意図に“素直に反応する原料”(=作りやすいともいう)と常々評価しており,
醸造者としてはニシノホシを使った常圧蒸留の焼酎がどのような焼酎になるのか,
興味を抱いていた。
そこで,【虚空乃蔵】の商品第一弾として,
a.ニシノホシ
b.白麹菌
c.常圧蒸留
という条件で,蒸留方法だけを常圧にして行った。
常圧下で蒸留すると,もろみの温度が100℃近くまで上昇し,
蒸留の間にもろみの中で化学反応が起こる。
つまり,発酵を終えたもろみにはなかった新しい成分が発生しながら,
同時に蒸留により焼酎原酒に移行する。
この微妙なバランスが常圧蒸留特有の香味となっている。
発酵を終えた時(=蒸留する直前)のもろみの成分が,焼酎の品質に影響する。
当たり前だが,同じ原料・同じ常圧蒸留であっても,発酵の状態によって,
出来上がった焼酎の品質は変わってくる。
今回,麹の力だけで,原料の液化・糖化を行い,酵母の自然な発酵力でもろみを発酵させた。
蒸留前のもろみの状態はアルコールも十分にあり,
ニシノホシを使ったもろみ特有の香りが感じられた。
常圧蒸留は,末ダレ(蒸留後半に出てくる留出液)をどこまで取るかによって,
品質に大きな影響が出てくる。
今回は,ニシノホシで作る初めての常圧タイプということもあり,
我々がいつも行うやり方で常圧蒸留を行った。
【虚空乃蔵】の蒸留機は,焼酎原酒がキレイに仕上がるという特徴があり,
今回商品化した焼酎も常圧タイプながら,香りの面では柔らかく仕上がったと思う。
熟成はタンクで半年以上かけ,味の面でもスムーズに感じられるところで瓶詰めした。
それが2004年の11月ということで,
“iichiko 虚空乃蔵 November 2004”とした。
今回の製造本数は,720mlサイズで5,000本。
残りわずかになってきたが,評判は良いようである。
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袋吊り
1月から仕込んだ大吟醸もろみを【袋吊り】する様子を報告。
もろみを濾して酒にする工程では,フィルターで圧搾ろ過する方法と袋に入れて自然ろ過でろ過する方法がある。 今回は,とくに【袋吊り】で大吟醸もろみをろ過した。
【袋吊り】で酒を造るやり方は,自然の状態でろ過するため,
1.酒が取れるまで時間がかかる
2.取れる酒の量が少ない
という欠点がある。
つまり,【袋吊り】というやり方は経済性という意味では,不経済な酒と言える。
“それでもやる”という私達は,【袋吊り】という作業に何を求めているのか?というと,
まずは
1.自然に垂れるため,きれいな酒質の酒がとれやすい。
換言すると,圧力をかけてろ過する場合,酒粕に含まれるアミノ酸等も酒に移行する。 大吟醸の場合には,なるべく雑味がないように仕上げたいので,【袋吊り】という方法が有効である。
2.さらに,昔ながらの酒造り・造りの技術を若い技術者に伝えたい。
今の世の中,機械で出来ないことはないが,そこを敢えて手間暇をかけて造る。 “造る喜び”・“酒造りに従事できる喜び”を若い人達に味わって欲しいという希望がある。
というわけで,不経済なやり方ではあるが,あえてやっている。 昨年の“大吟醸 和香牡丹 袋吊り原酒”はこちら
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実は,いま貯蔵している【むぎ焼酎】があります。
大分県の宇佐エリア(宇佐市,院内町,安心院町)では,二条大麦:ニシノホシの栽培が盛んです。 ニシノホシは焼酎造りに適した大麦として知られており,三和酒類が『西の星』という焼酎を販売しております。
今回,新しい試みとして,各農家が生産した“ニシノホシ”を品質評価し,焼酎造りに最も適した分析値を示した“ニシノホシ”だけで焼酎を仕込みました。
つまり,
を選んだということです!
今回は2つの農家が栽培した“ニシノホシ”が選ばれ,昨年11月~12月に1.5tの仕込を行い,現在は貯蔵中。
●ニシノホシの特徴は,麹造りに適しているということ。 ●酒米でいうと,酒造好適米・山田錦クラス。 そして今回,この“ニシノホシ”の特性を活かすために,すべて麹にして仕込みました。
出来上がったむぎ焼酎は,1.8L換算で約2千本強。 4月に瓶詰めし,ほとんどが大分県内で販売され,一部ネット販売も予定。
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もろみ
蒸米,麹,水,酵母が原料となって,日本酒は造られる。
『酒母(しゅぼ)』 大吟醸造りの始まりです。 小さなタンクで仕込まれ,これから長い間活躍できるしっかりした酵母を増やします。
『添仕込』 酒母に,仕込水と麹と蒸米を加えて,仕込みます。 最終的な仲仕込・留仕込にはいる前段階の仕込となり,タンクがやや大ぶりにします。 冷え込みすぎると,酵母が十分に育たないこともあります。 かといって高くすぎるともろみを台無しにします。 したがって,適度な大きさで,温度管理を厳密に行わなければなりません。
次の日は“踊り”。 もろみの状態を見ながら,1日見守ります。 杜氏はもろみの温度を見ながら,タンクを保温したり,冷却したりという判断を迫られます。
『仲仕込・留仕込』 さらに,仕込水と麹と蒸米を仕込みます。 ここで,タンクが大きくなります(といっても,私達の蔵では人の背丈ほどもない小さなタンクですが)。 私達の蔵では,大吟醸の仕込を明け方の最も寒い時間帯に行います。
今年は,1月下旬に,2本の大吟醸もろみを仕込みました。 思ったように,気温が下がらず,いつも以上に手をかけながらの仕込になりました。 山田錦も35%まで精白していますが,「いつもの年に比べると,硬かったので,麹を作るときに工夫をした」と佐藤杜氏は言ってました。
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麹引き込み
麹は米を溶解する酵素が含まれており,発酵をコントロールするためにも良い麹を作る必要がある。 麹を作る時は,蒸米を適度に冷ませた後,麹室(こうじむろ)に運ぶ。 麹菌は,アスペルギルス・オリゼーという黄麹菌。 日本古来の醸造品に使われている由緒正しい菌である。
麹室に運ばれた蒸米は拡げられ,大きな団扇を使い,さらに蔵人の手で,適度な温度に調整する。 このとき,温度が高すぎると麹菌が死滅し,うまく麹菌が生育しない。 麹菌の生育に最適な温度帯・湿度帯というものがあるため,蒸米の温度が低すぎると,逆に麹菌が生育するのが遅くなる。 このとき,杜氏は温度計と自分の手で感触を確かめながら,作業の指示を出す。
私達の酒蔵では,麹菌の種付けはひとりの人が行い,その他は麹室の壁に張り付いて見守っている(写真の通り)。
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米を蒸す
私達の酒蔵では,吟醸酒には酒造好適米「山田錦」を使っています。 山田錦を35%程度まで精白すると,ものすごく小さな粒になってしまいます。 吟醸造りには原料に由来するアミノ酸をできるだけ減らす方が都合がよいので,結果として35%ぐらいまで精白した米を使う酒蔵が多い。
洗米・吸水作業は秒単位の精度が必要で,日本酒業界では“限定吸水”という呼び方をされる。 吸水の良し悪しはその後の蒸米の状態に影響し,結果として,日本酒造り全体に影響してくる。 そのため,杜氏は,時計(ストップウォッチ)を見ながら,作業の指示を出す。
下の写真は甑(こしき)で米を蒸しているところ。 われわれの吟醸造りは,小さい規模で,丁寧に行うため,人手がかかる。 蒸し上がった米を放冷(=米の温度をさます)するには,「ためし」と呼ばれる木桶で運び,蒸し布の上に拡げる。 放冷は自然に行う。 そのため,“寒くて,乾燥”という自然の味方が必要になる。
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